平日 9:00-13:00 / 14:00-18:00土曜 9:00-13:00 / 14:00-17:00
※休診日:日曜・祝日
2026年9月14日
「骨が足りないので、インプラントはできません」
そう告げられて、治療そのものを諦めかけた状態でご相談に来られる方がいます。東予からお越しになる患者様のなかにも、決して少なくありません。
ただ、この一言が指している中身は、医院によってかなり幅があります。本当に打つ手が限られている状態を指していることもあれば、骨を増やす処置を扱っていないため、その医院ではできないという意味であることもあります。同じ言葉でも、前提が違うのです。
この記事では、骨が足りないと言われたときに実際どんな選択肢が残るのかを、判断の順番に沿って整理します。

目次
骨の不足には、高さの不足と幅の不足という二つの方向があります。この二つは原因も対処も異なるため、まずどちらが問題なのかを分けて考える必要があります。
歯を失った部分の骨は、噛む力という刺激を受けなくなると少しずつ痩せていきます。特に幅は、抜歯からの時間が長いほど細くなりやすい傾向があります。抜歯から何年も経ってから治療を考え始めた場合、レントゲンで見える高さは残っているのに、実際には刃物のように薄い骨しか残っていない、ということが起こります。
加えて、上顎と下顎では気をつける相手が違います。上顎の奥歯の上には上顎洞(じょうがくどう/頬の奥にある空洞)があり、下顎には下歯槽神経(かしそうしんけい/唇や顎の感覚をつかさどる神経)が走っています。骨の量だけでなく、これらとの距離が確保できるかどうかが判断を左右します。
骨を増やす処置は、まとめて骨造成と呼ばれます。ただ実際には、不足している場所と量によって使い分けられる複数の方法があります。
| 方法 | 主に使う場面 |
|---|---|
| GBR(骨誘導再生法) | 幅や高さがやや足りない場合。膜で覆って、骨ができるための空間を確保します |
| ソケットリフト | 上顎で、不足がわずかな場合。埋入する穴から上顎洞の底を押し上げます |
| サイナスリフト | 上顎で、不足が大きい場合。側面から窓を開けて広い範囲を持ち上げます |
| ブロック骨移植 | 大きく失われた場合。ご自身の骨をブロックのまま移植します |
名前が違うだけでなく、体への負担も、治るまでにかかる時間も同じではありません。「骨造成が必要です」とだけ説明された場合は、そのうちどれを想定しているのかを確認してみてください。話が具体的になります。
見落とされやすいのが、そもそも骨を増やさない道です。

たとえば、まっすぐ埋めると上顎洞にぶつかる位置でも、角度をつけて埋入することで、骨の厚みが残っている部分を使える場合があります。また、長さの短いインプラントを選ぶことで、神経までの距離を確保できることもあります。
どちらも、埋入する位置と角度をミリ単位で設計できることが前提になります。骨造成が必要かどうかは、骨の量だけで決まるのではなく、どこまで精密に設計できるかによっても変わるということです。

ここまで読むと、判断を分けているのが検査の中身だということが見えてきます。
平面のレントゲン(パノラマ)で分かるのは、主に骨の高さです。幅がどれだけ残っているか、神経がどの向きに走っているかまでは読み取れません。歯科用CTを撮ると、骨を立体としてとらえられるようになり、幅・高さ・神経や上顎洞との位置関係を同時に確認できます。
当院では、CTのデータをもとに埋入位置を事前に設計し、手術中もコンピュータで埋入位置を確認しながら進める方法を採っています。設計どおりに埋めることができれば、避けられる骨造成は避ける、という判断がしやすくなります。
増やす処置を選んだ場合、増えた骨が安定するのを待つ期間が加わります。そのぶん治療全体は長くなり、通院の回数も増えます。仕事や介護の予定と重なる方は、この点を最初に共有していただけると計画を組みやすくなります。
もう一つ、治療後の話もしておきます。骨を増やして埋めたインプラントも、周囲の歯ぐきに炎症が起きれば支えを失っていきます。手術の成否だけでなく、その後のセルフケアと定期的なメインテナンスが結果を左右します。ここは骨造成の有無にかかわらず変わりません。

検査の内容によって変わる可能性はあります。平面のレントゲンのみで判断されていた場合、CTで見直すと使える骨が見つかることがあります。逆に、CTまで撮ったうえでの判断であれば、同じ結論になることも当然あります。まずはどこまで検査をした上での説明だったかをご確認ください。
お薬の種類や服用期間によって対応が変わるため、お薬手帳をお持ちください。処方元の医師と連携して方針を決めます。なお、歯科の都合でご自身の判断により服薬を中断することは避けてください。骨の治療は全身の管理につながっています。
増やした骨の安定度合いには個人差があり、計画どおりに進まない場合もあります。そのため当院では、増やした後に改めて状態を確認したうえで次の段階に進みます。見通しについては、検査の結果をもとに事前にお伝えします。
構いません。検査の結果をご説明したうえで、治療を受けるかどうかはお持ち帰りいただいて差し支えありません。東予からお越しの方には、通院の回数をまとめる形での計画もご提案しています。
足りないのが高さなのか幅なのか。どの方法なら補えるのか。そもそも補わずに済む設計はないのか。この三つを確かめないまま出された答えは、まだ答えとは呼べません。
一度断られた経験があると、そこで話を終わりにしてしまう方が少なくありません。ただ、判断の根拠になった検査がどこまでのものだったかによって、見えている景色は変わります。ご自身の骨がいま立体としてどうなっているのか。確かめる価値は、まだ残っています。
この治療は自由診療です(保険適用外)
標準的な費用:臼歯 1本 506,000円(税込)/前歯 1本 550,000円(税込)。All-on-4 片顎オペ費用 1,980,000円(税込)※上部構造費用別(メタルフレーム 682,000円(税込)、ジルコニアフレーム 1,617,000円(税込))。骨を増やす手術(GBR)を併用する場合は1本につき88,000円(税込)、ソケットリフト88,000円(税込)、サイナスリフト440,000円(税込)、ブロック骨移植1本220,000円(税込)が加算されます。
治療期間・回数:標準的な治療期間は3〜6か月、来院回数は5〜7回程度が目安です。骨を増やす処置を併用する場合はさらに数か月かかります。
リスク・副作用:副作用・リスクは術後の腫れ、痛み、出血など。まれに神経の損傷によるしびれが生じることがあります。インプラント周囲炎を防ぐため、治療後も定期的なメインテナンスが必要です。
費用は2026年8月時点のものです。治療結果には個人差があります。詳細は診察時にご説明いたします。
この記事の監修者
鎌倉 聡
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長/歯科医師
日本口腔インプラント学会 専門医、ICOI国際インプラント学会 専門医・指導医、日本歯周病学会 歯周病専門医
最終監修日:2026年9月11日
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。
