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※休診日:日曜・祝日
2026年10月16日
| 患者 | 50代・女性 |
|---|---|
| 治療部位 | 上顎(ザイゴマインプラント2本+通常インプラント4本)/下顎(インプラント4本)、上下フルアーチ |
| 治療期間 | 初診 2022年5月 → 上部構造装着 2023年5月(約1年)、以降メンテナンス継続中 |
| 費用 | 5,840,000円(税込 6,424,000円)/自由診療 |
初診のとき、50代の女性だったこの患者さんの上あごには、ほとんど歯が残っていませんでした。

初診時のパノラマレントゲン写真(2022年5月)。上あごは数本を残してほぼ無歯顎、下あごも残存歯はわずかです。

初診時の口腔内写真。上あごは右側に1本、左側に数本を残すのみ。下あごも前歯部と左側臼歯部に限られていました。
このような状態でインプラントを希望されても、他院で断られるケースは少なくありません。理由は「骨が足りない」ことです。
上あごは、構造上インプラントに不利な条件が重なります。歯を失って時間が経つほど骨は痩せ、さらに上方には上顎洞という空洞があります。骨の高さが数ミリしか残っていない状態では、通常のインプラントを支えるだけの土台がありません。
こうした症例に対する選択肢の一つが、ザイゴマインプラント(頬骨インプラント)です。
通常のインプラントは、あごの骨(歯槽骨)に埋め込みます。ザイゴマインプラントはそこを起点にしつつ、痩せてしまった歯槽骨を通り越して、その奥にある頬骨(きょうこつ/zygoma)に固定を求めます。頬骨は顔の骨格を形づくる硬く厚い骨で、歯を失っても痩せることがありません。
つまり「歯槽骨に骨がないなら、痩せない骨に支えてもらう」という発想です。
この方法には利点があります。骨を増やす手術(骨造成)を行い、その骨が成熟するのを何ヶ月も待つ——という工程を省略できる場合があること。そして、条件が整えば早い段階から固定式の歯を機能させられることです。
一方で、通常のインプラントより長いインプラント体を、上顎洞や眼窩といった重要な構造の近くを通して埋入します。事前の精密な診断と、埋入位置・角度の設計が不可欠な術式です。
この患者さんの場合、治療の対象は上あごだけではありませんでした。下あごも残存歯がわずかで、噛み合わせ全体を再構築する必要がありました。
上下どちらか一方だけを直しても、噛み合わせは成立しません。上あごに理想的な歯を並べても、受け止める下あごが不安定であれば、その力は行き場を失います。だからこそ、上下を一つの計画として設計しました。
上あごにはザイゴマインプラント2本と通常のインプラント4本、下あごには4本のインプラントを埋入し、それぞれにフルアーチの固定式ブリッジを装着する——これが最終的な治療方針です。

上下フルアーチの補綴装置を装着した状態(2023年5月)。歯列と歯ぐきの形態が回復し、上下の噛み合わせが成立しています。

装着後の口元。歯列が回復し、口元の支えが戻っています。
ほとんど歯のなかった状態から、上下すべての歯が固定式で並ぶ状態へ。取り外しの必要がなく、ご自身の歯に近い感覚で噛める状態を目指した設計です。
インプラント治療の本当の評価は、装着した日ではなく、その後の年月で決まります。

経過観察時のパノラマレントゲン写真(2026年4月)。上あごの左右に、頬骨へ向かって斜めに伸びるザイゴマインプラントが確認できます。上下のフルアーチブリッジも安定した状態を保っています。
装着からおよそ3年が経過した時点の画像です。上あごの左右で頬骨に向かって斜めに立ち上がっているのが、ザイゴマインプラント。その内側に通常のインプラントが並び、全体で一つのブリッジを支えています。
この間、患者さんには定期的にメンテナンスへ通っていただいています。フルアーチの補綴装置は構造が複雑で、清掃には専用の道具とコツが必要です。ご自宅でのケアと、医院での定期的なチェック。この両輪があって初めて、この状態が保たれます。
歯を失ってから時間が経ち、骨が痩せてしまった。他院でインプラントは難しいと言われた。入れ歯が合わず、外食を避けるようになった——。
そうした経緯でお越しになる方は、決して珍しくありません。そして、骨の状態が厳しいからといって、必ずしも打つ手がないわけではありません。骨造成、ザイゴマインプラント、設計の工夫。条件によって選べる方法は変わります。
大切なのは、まず現状を正確に把握することです。レントゲンやCTで骨の残り方を確認して初めて、何ができて何ができないかが見えてきます。
「もう無理だ」と諦めてしまう前に、一度ご相談ください。
バス停「JA松山市鶴吉倉庫前」から徒歩6分です。松山市から通われている患者様も少なくありません。
この治療は自由診療です(保険適用外)
標準的な費用:臼歯 1本 506,000円(税込)/前歯 1本 550,000円(税込)。All-on-4 片顎オペ費用 1,980,000円(税込)※上部構造費用別(メタルフレーム 682,000円(税込)、ジルコニアフレーム 1,617,000円(税込))。骨を増やす手術(GBR)を併用する場合は1本につき88,000円(税込)、ソケットリフト88,000円(税込)、サイナスリフト440,000円(税込)、ブロック骨移植1本220,000円(税込)が加算されます。
治療期間・回数:標準的な治療期間は3〜6か月、来院回数は5〜7回程度が目安です。骨を増やす処置を併用する場合はさらに数か月かかります。
リスク・副作用:副作用・リスクは術後の腫れ、痛み、出血など。まれに神経の損傷によるしびれが生じることがあります。インプラント周囲炎を防ぐため、治療後も定期的なメインテナンスが必要です。
費用は2026年8月時点のものです。治療結果には個人差があります。詳細は診察時にご説明いたします。
この記事の監修者
鎌倉 聡
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長/歯科医師
日本口腔インプラント学会 専門医、ICOI国際インプラント学会 専門医・指導医、日本歯周病学会 歯周病専門医
最終監修日:2026年9月11日
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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