平日 9:00-13:00 / 14:00-18:00土曜 9:00-13:00 / 14:00-17:00
※休診日:日曜・祝日
2026年10月30日
| 患者 | 70代・女性 |
|---|---|
| 治療部位 | 上顎全体(All-on-5/インプラント5本による固定式フルアーチ) |
| 治療期間 | 初診 2023年2月 → 手術 2023年5月22日 → 上部構造装着 2023年10月5日(初診から約8ヶ月/手術から約4ヶ月半) |
| 費用 | 3,350,000円(税込 3,685,000円)/自由診療 |
目次
初診は2023年の2月でした。
主訴は、噛めないこと。そしてもう一つ、ご本人が言葉を選びながら口にされたのは、人前で口を開けることへのためらいでした。

初診時のパノラマレントゲン写真(2023年2月)。上あごには歯冠を失い歯根だけが残った歯が複数あり、支えとして機能していない状態でした。
レントゲン写真が示していたのは、上あごの厳しい状況でした。歯冠部分が崩壊し、歯根だけが残っている歯が複数。すでに噛む機能を果たしていないばかりか、感染源になりかねない状態です。一方で、下あごには比較的多くの歯が残っていました。

初診時の口腔内写真。上あごは残根と大きな補綴物が混在し、前歯部の見た目にも影響が及んでいました。
上あごの歯をすべて失う、あるいは失いつつある場合、選択肢はいくつかあります。
総入れ歯は、外科処置を必要とせず費用も抑えられます。ただし上あごの入れ歯は口蓋(上あごの天井部分)を覆う構造になるため、食べ物の温度や食感が感じにくくなり、装着感が気になる方もいらっしゃいます。
1本ずつインプラントを入れる方法は、失った歯の数だけインプラントが必要になり、本数が増えるほど身体的にも費用的にも負担が大きくなります。
そしてAll-on(オールオン)。これは、少ない本数のインプラントで、アーチ全体をつなげた固定式のブリッジを支える方法です。本症例では上あごに5本のインプラントを埋入するAll-on-5を選択しました。
口蓋を覆う必要がないため、食事の感覚が損なわれにくい。取り外しの手間もない。そして、失った歯の本数より少ないインプラントで全体を支えられる——これが、この方法を選んだ理由です。
手術に先立ち、残っていた歯根の処置と、埋入位置の設計を行いました。
All-onでは、インプラントを埋入する位置と角度が仕上がりを大きく左右します。骨が十分に残っている部位を選び、必要に応じて傾斜させて埋入することで、限られた骨の中でも前後に広く支点を確保する。この設計次第で、その後の安定性が変わります。
2023年5月22日、上あごに5本のインプラントを埋入しました。
インプラント治療で避けて通れないのが、骨と結合するのを待つ期間です。上あごは下あごに比べて骨が柔らかいため、より慎重に経過を見ていく必要があります。
その後、骨との結合を確認し、2023年10月5日、最終的なフルアーチの補綴装置を装着しました。手術から約4ヶ月半、初診からは約8ヶ月が経っていました。

経過観察時のパノラマレントゲン写真(2024年11月)。上あごに5本のインプラントが並び、それらが一体のフルアーチブリッジを支えています。下あごはご自身の歯が機能しています。
レントゲン写真の上あごを見ると、5本のインプラントが等間隔ではなく、両端をやや傾けた配置になっているのが分かります。これが、限られた骨の中で支持を広く取るための設計です。

上部構造装着後の口元。歯列の形態と長さが回復し、上下の噛み合わせが整っています。
歯を失うと、噛めなくなるだけではありません。歯は唇を内側から支えているため、失われると口元の張りが変わり、しぼんだような印象になります。話すときの発音にも影響が出ることがあります。
上あご全体を再建するということは、噛む機能を取り戻すと同時に、その口元の支えを作り直すということでもあります。
固定式のフルアーチ補綴装置は、天然の歯とは清掃の仕方が異なります。ブリッジと歯ぐきの間には、汚れがたまりやすい部分があります。ここを放置すればインプラント周囲炎につながり、支えているインプラントそのものを失うことにもなりかねません。
この患者さんにも、専用の清掃器具の使い方をご案内し、定期的なメンテナンスにお通いいただいています。装着から2年以上が経過した現在も、安定した状態を保っています。
歯の根しか残っていない。何本も抜かなければならないと言われた。入れ歯を作ったが使えていない——。
こうした状態でも、上あご全体を再建する方法はあります。ただし、選べる方法は骨の状態によって変わりますし、時間が経つほど骨は痩せていきます。
まずは現状を正確に把握することから始めましょう。検査とご相談だけでも構いません。お気軽にお越しください。
当院には松山市から通われている方が多く、他院で難しいと言われた状態についてのご相談もいただいています。
この治療は自由診療です(保険適用外)
標準的な費用:臼歯 1本 506,000円(税込)/前歯 1本 550,000円(税込)。All-on-4 片顎オペ費用 1,980,000円(税込)※上部構造費用別(メタルフレーム 682,000円(税込)、ジルコニアフレーム 1,617,000円(税込))。骨を増やす手術(GBR)を併用する場合は1本につき88,000円(税込)、ソケットリフト88,000円(税込)、サイナスリフト440,000円(税込)、ブロック骨移植1本220,000円(税込)が加算されます。
治療期間・回数:標準的な治療期間は3〜6か月、来院回数は5〜7回程度が目安です。骨を増やす処置を併用する場合はさらに数か月かかります。
リスク・副作用:副作用・リスクは術後の腫れ、痛み、出血など。まれに神経の損傷によるしびれが生じることがあります。インプラント周囲炎を防ぐため、治療後も定期的なメインテナンスが必要です。
費用は2026年8月時点のものです。治療結果には個人差があります。詳細は診察時にご説明いたします。
この記事の監修者
鎌倉 聡
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長/歯科医師
日本口腔インプラント学会 専門医、ICOI国際インプラント学会 専門医・指導医、日本歯周病学会 歯周病専門医
最終監修日:2026年9月11日
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。
