1〜3本インプラントを埋入されたい方へ
前歯にインプラントをお考えの方へ
1本だけ前歯を失った場合
例えば、この患者さんは当院の衛生士ですが原付で転倒し右上の前歯を一本折ってしまいました。
折れて抜けた歯を戻していましたが、生着せず、グラグラになって抜歯することになりました。
ここで前歯の治療を進める上でどのようなことが大切なのでしょうか?
抜歯はできるだけやさしく丁寧に
前歯の治療で一番気になることは、見た目(審美性)と永続性です。前歯は見た目。歯の形もさることながら、歯ぐきの色、膨らみ。隣の歯と同じ形態に回復することが大切です。そして回復した歯の見た目が美しいまま保たれること。
実は、私は歯を抜歯するときから将来の仕上がりを考えて、できるだけ抜歯部位にストレスがかからないように施術します。
もし保存不可能な歯を乱暴に抜くと歯茎は凹み、支えていた骨は吸収され、インプラント治療を行っても隣の歯と同じ形には回復できなくなります。
そこで、抜歯は通常よりも丁寧に、歯茎や薄い骨を傷つけないように行います。
今回は歯を抜いた穴にバイオスという歯茎の中で骨におきかわる薬を入れました。その理由は、抜歯によって通常へこんでしまう抜歯部位を、できるだけ温存したかったからです。
そして骨が回復するのを待ちます。
仕上がりを考えたインプラント埋入ボジションの設計
見た目の良い前歯のインプラント治療を行うには欠かせないことがあります。それは、ピンポイントで適切な位置にインプラント体を埋入することです。 実は、インプラントをどの位置にどの方向に、どの深さに、埋入するかによって見た目の結果が違ってくるのです。そこで、我々は正確にインプラントを位置決めするためにこのようなソフトを使い、手術時にはこのように使います。
前歯は、計画的に正確に治療を進めないと満足した仕上がりにはなりません。
歯茎の見た目も考える
インプラントの周りには健康な歯茎が必要です。必要な場合には、お口の別の場所の歯茎を移植することもあります。
2本以上前歯を失った場合
この方は、前歯を5本分インプラントで補綴することになった方です。
もちろん、CTを撮影し、模型を作って、仕上がりを考えた設計をしていきます。骨がへこんで決まっているところには骨を回復する処置を行い、歯茎が薄くなっている部分には歯茎の厚みを増す処置を加える計画を立てます。
インプラントは何本、どの位置に必要か、噛み合わせの力はどの方向に逃がすのか。人工歯の材料は、丈夫さと見た目を考えて何を選択するのか考えます。
建築でもそうですよね。まず、地盤調査をして地盤が弱ければ、地盤改良や杭打ちをします。建物を建てる位置を考えて基礎を配置しその上にビルを建てる。何階建てにするかとかどんな材料にするか、どのくらい人が入るのかなどを考えて構造計算をします。
歯科治療も一緒です。見た目も、若い方の治療ほど見た目を考慮しますし、年配の方で見た目よりも、よく噛めること、治療期間が短いこと、体への負担が少ない方が良い人は、そのことを考えて治療計画、材料を考えます。
- 完成予定の模型を作ります
- インプラント設計用ソフトで綿密に計画を
立てます - 治療を行います
- そして、完成!
今回は、3本のインプラントを配置し、骨の回復、歯茎の回復処置を経て人工歯とインプラントがネジで固定される方式(スクリューリテイン)で仕上げました。全体は、ジルコニアを使い破折を避けるために、ジルコニアに歯の色を浸透させて仕上げています。
ポーセレンを焼き付ける方法もあります。その方が天然歯に近い美しさを出せます。
しかし、この方の噛み合わせを考慮すると、前歯にねじりの力が加わることが予測されました。したがって、ポーセレンを焼き付ける方法は後でポーセレン部が剥がれる可能性があり採用しなかったのです。
奥歯のインプラント治療をお考えの方へ



これが大切であると考えます。
奥歯は生えている位置がお口の奥で、ほとんど見た目は気になりません。しかし、硬いものを粉砕しないといけませんから、丈夫である必要があります。
インプラントの人工歯は主にジルコニアを使用
インプラントの人工歯は、当院では主にジルコニアを使用しています。
ジルコニアは、セラミックに分類されていますが非常に硬く、現代では加工もスムーズにできるようになっています。
欠点は、真っ白であること。歯の色を表面に浸透させてつけます。しかし、マットな色合いです。
奥歯を3本失った場合
